2日に放送を終了したNHK総合の連続テレビ小説「てっぱん」の全回を通しての平均視聴率が、関東地区で17・2%、関西地区で16・2%だったことが4日、ビデオリサーチの調べでわかった。前作「ゲゲゲの女房」と比べ、関東で1・4ポイント低く、関西で0・3ポイント高かった。
最終回の平均視聴率は関東地区22・0%、関西地区17・5%だった。
同番組は東日本大震災の影響で3月12日に放送を休止、19日に再開しており、23日には関東地区で全回を通して最高となる23・6%を記録、「ゲゲゲ」の最高と並んだ。
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/110404/ent11040412170012-n1.htm
終盤で伸びたのは、震災の報道が続いたので日常を描くこのドラマを見るとホッとするというような面もあったみたいです。
とはいえ、基本的に内容が面白かったと思います。2月ごろだったか、ある週刊誌のTV評コラムでも”「てっぱん」は最初はダメだと思ってたが、今は理由はわからないが面白い”とかかれていました。理由はいろいろあるでしょうが、私が気付いた面白い理由があるので、3つ上げてみたいと思います。
1.群像劇である
NHKの朝ドラは、女性が主人公でその主人公の行き方を描くというのが、基本中の基本テーマです。「てっぱん」も一応基本どおり村上あかりという主人公の成長を軸にしているものの、実際はあかりの周りにいる田中荘の面々、尾道の家族たちの群像劇になっています。従来の作品でも脇役がメインになるエピソードがところどころにはさまれていましたが、あくまで箸休め的な扱いでした。
ところが「てっぱん」の場合結構主人公あかりそっちのけで脇役の話が入れ替わり立ち代り入ってくる。例えば最終週の月曜日どんな話だったかというと、田中荘に転がり込んできて、あかりの兄の欽也にプロポーズされてるのぞみが産気付いて出産するという話でした。最終週なのに主人公差し置いて脇役の出産シーンですよ。
で、群像劇がなぜいいかというと、それぞれのエピソードにおける主役が変わるので、飽きないんですよね。従来だと主役の女性で半年持たせなきゃいけないのでどうしても中だるみが出てくる。それをうまく回避できて最後まで緊張感を持たせることができたと思います。
2.その群像劇が実は主人公あかりの物語の投影になってる
これは、1.と不可分なところがあるのですが、脇役のエピソードが実はあかりにまつわる過去や心情にオーバーラップするようになっているのです。
例えば、上であげたシングルマザーののぞみの出産は、これは劇中でも言われているのですが、同じく一人で尾道にやって来てあかりを生んだあかりの実母、千春の姿を連想させます。一方、その千春は全話通して2カットと後は写真でしか出てきません。
つまり、にぎやかしで群像劇になってるのではなく、過去や心理描写を直接でなく間接的に表現するために群像劇になっているのです。そこのところで想像力が働くので、面白いと感じるのかもしれません。
3.構成
下半期の朝ドラは上半期にはないハンデが一つあります。それはお正月休みを挟むことです。これがあることで、下半期は正月前と後の2部構成的になりがちです。また正月のブランクで視聴者をはなれさせないように山場をここに置くことが多いです。ただこれをやると、山場を越えたあとの後半が中だるみしてしまうんですね。
それに対して「てっぱん」はあまり正月のブランクを意識した作りにはなってなかったように
思います。そのため無理に山場を年末年始に持っていく必要なく最後まで緊張を保てたんだと
思います。
以上、3つ上げてみました。もちろん、他にも(特に前半の)富司純子さんの演技がいいとか
まだまだあると思いますが。
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