2011年02月13日

「チョコレイト・ディスコ」に見るPerfumeの楽曲の魅力その2

昔、「チョコレイト・ディスコ」に見るPerfumeの楽曲の魅力その1
というエントリを書いて、最後に、次回に続くなんて書いたんですが、実に2年間も放置していました。

2年前の2月というと武道館と代々木の間ですから、その後いろんなことがありました。ただ「チョコレイト・ディスコ」という楽曲は着実に世間に浸透して行き、ついにPerfumeの全く出演していない音楽番組でカバーされるまでに至りました。

ということで、いまさらですがこの「チョコレイト・ディスコ」という楽曲の魅力について続きを書いてみたいと思います。

「チョコレイト・ディスコ」に見るPerfumeの楽曲の魅力その1では、「チョコレイト・ディスコ」の歌詞が抽象的でどのようにでも解釈できるように書かれているため、聴く人が自分の学生時代のバレンタインデーの経験に重ねることが出来るというようなことを書きました。
そして、最後に
この曲は歌詞だけでなくその構成にも秘密があると私はおもっています。そしてこの人も同じことを考えたんだろうなとも。

その人の名は、MIKIKO先生!

と予告して終わりました。今回はこのことについて書きます。

ご存知の通り、現在Perfume作品において中田ヤスタカは作詞作曲から完パケまですべて自分でやります。このことが、詞、曲、アレンジ、ボーカル処理までをリンクさせた形での表現を可能にします。「チョコレイト・ディスコ」では、曲の最初から最後までの時間を使ってバレンタインデーまでの数日間の時間の経過を表現しています。

説明のために「チョコレイト・ディスコ」の歌詞を改めてみてみましょう。
「チョコレイト・ディスコ」
作詞中田ヤスタカ
作曲中田ヤスタカ

チョコレイト・ディスコ(*8)

チョコレイト・ディスコ チョコレイト・ディスコ
チョコレイト・ディスコ ディスコ・コ・コ

計算する女の子
期待してる男の子
ときめいてる女の子
気にしないふり男の子

バレンタインが近づいて
デパートの地下も揺れる
計算する女の子
期待している男の子

お願い 想いが届くようにね
とっても 心こめた甘いの
お願い 想いが届くといいな
対決の日が来た

チョコレイト・ディスコ(*8)

チョコレイト・ディスコ チョコレイト・ディスコ
チョコレイト・ディスコ ディスコ・コ・コ

計算する女の子
期待してる男の子
ときめいてる女の子
気にしないふり男の子

お願い 想いが届くようにね
とっても 心こめた甘いの
お願い 想いが届くといいな
なぜか 教室がダンスフロアに

チョコレイト・ディスコ(*8)

(間奏)
チョコレイト…ディスコ…


チョコレイト・ディスコ チョコレイト・ディスコ
チョコレイト・ディスコ チョコレイト・ディスコ

チョコレイト・ディスコ チョコレイト・ディスコ
チョコレイト・ディスコ チョコレイト・ディスコ

ディスコ ディスコ ディスコ ディスコ
ディスコ ディスコ ディスコ ディスコ

ディスコ ディスコ ディスコ ディスコ
ディスコ ディスコ・コ・コ ディスコ


チョコレイト・ディスコ ディスコ
チョコレイト・ディスコ ディスコ

チョコレイト・ディスコ ディスコ
チョコレイト・ディスコ



説明のために、間奏の後は(繰り返し)ではなくすべて、しかも1行2小節にそろえて記述しています。

「バレンタインが近づいて」とあるように、前半ではバレンタインデー前日以前のことを歌っています。「対決の日が来た」をどう解釈するかにもよりますが、すぐ前に「バレンタインが近づいて」があるので、これはいよいよ近づいてきたということでしょう。

そして間奏をはさんで「チョコレイト・ディスコ」のループになります。後半は具体的な描写はなく、ひたすら「チョコレイト・ディスコ」を連呼します(ピンクの部分)。しかも途中から「ディスコ」だけになってそのループが早くなっていきます(赤の部分)。そして「ディスコ」ループが高まったところで、急にループのスピードがゆっくりになります(緑の部分)。

これは当日の緊張感、もっと言うと心臓のドキドキを表現しているんだと思います。つまりチョコレートを渡そうとして鼓動がどんどん早くなっていくんですね。そして、渡して、ドキドキがおさまっていく。それを表現してます。

こう考えると、間奏の部分はそのつなぎ、つまりバレンタインデーの前日の夜ということになります。というよりむしろ、前半と後半の時間経過を明確にするために間奏を入れたのでしょう。つまり、「チョコレイト・ディスコ」という曲は、

(前半)バレンタインデー前日まで→(間奏)前日の夜→(後半)当日

という構造になってるんですね。

この構造におそらく最初に気付いたのがMIKIKO先生ではないかと思います。

MIKIKO先生はこれに気付き、振り付けで視覚化をしました。チョコレイトディスコの間奏の振り付けを思い出してください。ボールをかき混ぜて、味見をする動作をします。つまり、バレンタインデー前日にチョコを手作りしてる様子を表現することで、時間経過を視覚化しているのです。

このように、単に歌詞やメロディーだけでなく、曲の構成を使って表現される中田ヤスタカの楽曲とそれを見事に視覚化するMIKIKO先生の振り付けがもう一つ、いやもう二つのPerfumeの楽曲の魅力なのです。

ラベル:Perfume
posted by nanno at 23:08| Comment(0) | TrackBack(0) | Perfume | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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