フェスに出演している他のロックバンドの人たちの多くは、その経歴のなかでライブハウスでの2組、3組の対バンライブを重ねて来ています。そういう人たちにとっては、フェスっていうのは感覚的にかつて行ってた(もしかするとグループによっては現在も行っている)対バンライブなんじゃないかと思うんです。つまり、自分のステージの時間は「自分のライブ」の時間なんですよね。
一方、アイドルとしてインストアイベントなどの経験の多いPerfumeにとっては、オープンスペースで出入り自由なフェスの空間って、「営業」に近い感覚があるんじゃないかと思います。
フェスでのPerfumeのセットリストには、ある法則があるのに気づきます。
1.ライブでの初披露(初ロングバージョン含む)は原則としてない。
2. ほとんどシングル曲もしくはタイアップ曲
3.基本的にアゲアゲな構成
シングル曲1,2曲しか知らないアーチストを見に行ったらアルバムに入っている曲をやっててのりきれなかった、他のステージに移動する客がちらほらみたいな経験あると思いますが、Perfumeのフェスでのセットリストを見ると、そういう事を起させない配慮がなされていることがわかります。
例として今回のRIJ2009でのセットリストをみると
edge(出囃子)
ワンルーム・ディスコ
Night Flight(Short Ver.)
Dream Fighter
マカロニ
I Still love U(Short Ver.)
チョコレイト・ディスコ
ポリリズム
Puppy Love
Perfumeの現状を考えると、これだけシングル曲を並べられると、ちょっと最後まで見てみようという気になりますよね。
さらに今回実際に見てて、MCにおいてもそれを感じました。
例えば、あ〜ちゃんがMCの時に、グラスステージのスタンディングゾーンの後ろの通路を歩いている人たちに「私たちがPerfumeで〜す」と手を振るんです。4万人集まってたとしても、その後ろを歩いている人に手を振る。Perfumeに手を振られたらもう見ていくしかないですよね。まあ、あの時間にあの辺りを歩いていたってことはPerfumeを見に来てるんですが。
また、今回のセットリストに「マカロニ」が入っていますが、唯一聞かせるタイプのこの曲を入れることをMCで気にしていました。実際去年も入っていて、盛り上がり的に入れないほうがよかったんじゃない?みたいなことを言われたようです。ただ、私の周りにいた女性たちは「マカロニ」のイントロが始まるや悲鳴を上げて喜んでたので心配は無用だったと思います。
もちろん、どのアーチストにしても「自分のライブ」、「営業」のどちらか01ではないし、ましてやどちらが正しいということではありません。ただ、やはり「営業用」ライブをやられたら人が集まってくるのは当然です(もちろん、内容が伴っているからですが)。ましや、長いアウェイの経験の積み重ねで”名前だけでも覚えて帰ってもらう”ことに関してはプロ中のプロのPerfumeです。
Perfumeのフェスでの強さはこういったところにもあるのではないかと思います。