Perfumeがクリエーター層に人気があるのは、「ポリリズム」以前から言われていることはご存知の通り。ただよく考えてみると、当の3人は失礼ながらクリエーター風のキャラではありません。そのことは本人達にも自覚があって、それが「私たちは作詞も作曲もしていない」という発言につながります。勘違いしないところがポッと出の新人アイドルとは違うところ。
Perfumeがアイドルかアーチストかというのは古くて、まだしばらくは続きそうな問題です。「凵vの売上が(金曜日騒動などの影響で)落ちるのではないかと本気で心配してたらしいことから、この辺、本人達や周りのスタッフですらあいまいのようです。本人達があいまいというよりは、ファンがどう受け止めているかを計りかねているというところかもしれません。
個人的にはこの問題には既に答えが出ていて、個々の活動はアーティスティックで、全体としてはアイドルだと思ってます。その「個々の活動はアーティスティック」のところに関して、ミュージックマガジンの記事で次のように簡潔に書かれていて的確だなぁと思いました。
パフュームを通常のミュージシャンと同様にアーティスト扱いするのは的外れだ。
解釈と咀嚼と表現。その過程の苦しみこそ、パフュームが背負ったものであり、
そこにアーティスト性があるのだと言える。
(ミュージック・マガジン 2008年8月号)
ただ、これだけだと実は自分で作詞作曲をしていないアーティスト全てにあてはまることなんですよね。Perfumeが面白いのは、さらにこの「解釈と咀嚼と表現」の過程を我々が目の当たりに出来ることです。
各種インタビュー等から、Perfumeのレコーディングは、レコーディング当日に曲を渡され、その場で覚えて歌うというかなり変わったスタイルで行われるようです。そのため、歌詞の内容を十分解釈する時間がなくファーストインプレッションで歌うことになります。これは中田ヤスタカが深く解釈させないために意図的にやっていることのようですが、このスタイルのためにPerfumeの3人は曲の本格的な解釈をレコーディング後に行うことになります。そのため、曲によってはレコーディング時から3人の解釈が変化していくことがあります。
その一つの例が「ワンルーム・ディスコ」です。歌詞に出てくる「半分の生活」という表現が、同棲もしくはそのような状況からの別れを暗示しているという解釈に現状落ち着いているようですが、レコーディング時にはそのようには捉えてなかったようです(もしかすると3人ともではないかもしれませんが)。プロモーションのための取材を受けているうちに、インタビュアーから指摘されはじめて気づいたようで、そのため、「ワンルーム・ディスコ」のリリース時の各誌のインタビューを見るとインタビュー時期によって回答が少し変化しているのがわかります。
よくPerfumeの楽曲は振りがついてライブで披露されて始めて完成すると言われますが、その理由の一つは、このレコーディングのスタイルにあると言えるかもしれません。
「凵vに収録されている新曲も、まもなく始まるツアーでどのように解釈され、どのように咀嚼されていくのか。楽しみです。
ラベル:Perfume