取り上げられてたのは、ハイジが、チーズ作りを手伝っている途中で火にかけた鍋をそのままに外に出てしまい焦がしてしまうというエピソードです。そのことを通じてハイジは"責任"というものを知るという”イイ話"という取り上げられ方でした。
で、問題はVTRの後のトーク部分で、その時のおじいさんのハイジに対する言い方があんな(冷たい)言い方はないと、島田伸介が噛み付くところです。物語的にあそこは冷たい言い方をしているのは当然なのです。
そもそもハイジのおじいさんがなぜ山の上に住んでいたかというと、人嫌いで人と関わりたくなかったからです。要は世捨て人だったんですね。そこへ、押し付けられる形でハイジと暮らす羽目になってしまった。おじいさんは、いくら人嫌いとはいえ子供を山に放っておくことはできず、最初は仕方なくハイジと暮らしていたんです。
ハイジという少女の明るさ、純粋無垢さが、周りの人の閉ざされた心を開き幸せにするというのが「アルプスの少女ハイジ」という物語の基本プロットです。そして、その心を開かせる対象が、前半はおじいさん、後半がクララをはじめとするぜーゼーマン家の人々なのです。
この鍋を焦がすエピソードは、ハイジが来てすぐのエピソードで、おじいさんはハイジにまだ心を開いてない時期なのです。物語はこのあと暮らしの中でおじいさんがだんだんハイジに心を開き、さらにハイジを学校に通わせるために冬場は村へ下りて村人と暮らすというように、おじいさんが変わっていく様子が描かれます。
つまり、物語の構成上、この鍋を焦がすエピソードではおじいさんは冷たい人でないといけないのです。なので、このエピソードだけを抜き出せば伸介の批判はもっともですが、「アルプスの少女ハイジ」の1シーンとして紹介されている以上、冷たいと単に批判だけするのは、片手落ちではないかと思いました。
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